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データから分かった!准看護学校の現状まとめ(令和5年現在)

入学前

以前、こんな記事を書きました↓

今回は医師会のデータをもとに、准看護学校の現状を見ていきたいと思います。

元となるデータは、令和5年5月に日本医師会が実施した、

「令和5年医師会立助産師・看護師・准看護師学校養成所調査」の結果です。

https://www.med.or.jp/dl-med/chiiki/kango/survey_R0505.pdf

これは、医師会立の助産師・看護師・准看護師学校養成所における入学・卒業状況の把握

を目的として、毎年行われているものです。

今回はその内容から准看護師に係る部分を抜き出していきます!

医師会立の准看護師養成所の現状

医師会立の准看護師養成所の数

准看護師課程養成所数137 校
令和5年度募集停止2 校(うち、令和4年度より停止1校)
令和5年3月閉校 15 校
https://www.med.or.jp/dl-med/chiiki/kango/survey_R0505.pdf

医師会立の准看護師養成所の数は、令和5年現在、137校となっています。

令和5年度入学状況

定員応募者受験者合格者入学者
准看護師課程59335,0024,7724,1763,748
(うち男子)(1,061)(1,001)(827)(740)
https://www.med.or.jp/dl-med/chiiki/kango/survey_R0505.pdf

  • 定員に対し応募者は84%と定員割れ
  • 合格率は87%

定員に対し、応募は8割程度に留まっていることが分かります。

また定員割れしているものの、合格率は87%と、受験者が全員入学できるわけではありません

入学者の最終学歴

中卒高校中退高校新卒高校既卒短大卒大卒医療機関
就労生徒
准看護師課程3412369781,8422653221,535
(うち男子)(30)(22)(241)(354)(18)(97)
入学者に
占める割合
9.1%6.3%26.1%49.1%7.1%8.6%41.0%
https://www.med.or.jp/dl-med/chiiki/kango/survey_R0505.pdf

上記データから分かることは、

  • 高校新卒者が全体の1/4を占める
  • その他学歴はバラバラ
  • 学生の4割が医療機関で働きながら勉強している

上記のデータから、高校新卒者である18~19歳が入学者の1/4を占めていることが分かります。

医療機関で働きながら勉強している学生は4割超にものぼるんですね。学校によっては授業は午後からというところもあるので、働きながら勉強する学生が多いのではないでしょうか。

受験生の年齢についての言及はされていませんでしたが、ネット上では以下の記事が見つかりました。

10~50歳代まで、様々な経験を持った方たちが入学されています。また、2020年度の入学生の平均年齢は30歳代となっています。

東大阪准看護学院 よくある質問

これは学校によっても年度によっても変わるでしょうが、わたしの准看護学校のクラスも平均年齢は上記と同じくらいでした。

進学率

卒業者数4,436
進学者数1,972
進学率44.5%
https://www.med.or.jp/dl-med/chiiki/kango/survey_R0505.pdf
  • 卒業生の4割以上がストレートで看護学校へ進学している

准看護学校を卒業そのまま進学しているのは44%でした。

半数近い生徒が、准看護学校卒業後すぐに正看護師資格取得のため、2年の看護学校へ進学していることが分かります。

医師会の意見は?

「令和5年医師会立助産師・看護師・准看護師学校養成所調査」には、以下のように書かれています。

准看護師は、地域の中小病院や診療所、介護施設で多く就業しており、現在の養成体制が維持できない場合、今後の医療・介護提供体制の確保に著しい影響を与える

https://www.med.or.jp/dl-med/chiiki/kango/survey_R0505.pdf

養成所は一度閉校すると再開することは困難であり、市町村や都道府県行政は、地域の看護職員の確保について危機感をもって、地域に根差した養成所への財政支援(地域医療介護総合確保基金、その他補助金)を行っていただきたい

https://www.med.or.jp/dl-med/chiiki/kango/survey_R0505.pdf

准看護師は地域医療・介護を支えており、准看護学校が減少すると困るため、閉校しないように地方行政に財政支援を行うよう提言していることが分かります。

データから分かった!准看護師を取り巻く状況

これまでの内容をまとめると、以下のようになります。

  • 医師会立の准看護師養成所の数は、137校(令和5年現在)
  • 令和5年3月に15校が閉校
  • 准看護師養成所は定員割れ
  • 定員割れだが、合格率は84%
  • 高校新卒者が1/4程度を占める
  • ほかの学生の学歴はバラバラ
  • 学生の4割が医療機関で働きながら勉強している
  • 卒業生のうち、4割強がそのまま進学
  • 准看護師の不足で地域医療・介護の維持が困難になる
  • 医師会は准看護師養成所への財政支援を提言している

准看護学校の数は減少傾向にあります。令和5年3月には15校が閉校しました。受験者も定員割れしているため、今後も学校数は減少していくと考えられます。

しかし現在、准看護師の多くが地域医療や介護現場に従事しており、地域を支える大きな戦力となってています。養成所の減少は、今後の地域医療・介護の崩壊を招きかねないのです。

医師会は准看護師養成所の支援を行政に提言しています。

まとめと鬼瓦の考え

今回は、医師会のデータから、准看護学校の現状について見ていきました。

医師会は准看護師の減少に危機感を持っており、人材確保のために腐心していることが分かります。看護師の地位向上のため准看護師の廃止を主張している看護協会とは、異なる立場なんですね。

准看護師として働いてみて、看護師の地位向上は当然のことだと思います。看護師と准看護師では勉強量に大きな差があるにも関わらず、待遇面での差がさほど大きくないからです。

しかし、看護師の地位向上と准看護師の廃止は別に議論してほしいと考えます。

議論すべきは、看護師と准看護師の業務範囲の差別化や待遇改善についてではないでしょうか。

准看護師廃止の議論は看護師と准看護師の分断を煽り、更なる人材不足を招くことになりかねません。

医療従事者不足の解消には、社会人からナースを目指しやすい准看護師制度が必要不可欠であると考えます。

医師会は准看護学校の廃止や准看護師の減少を嘆くのではなく、上記のような議論を進めていただきたいですね。

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