わたしが幼少のころ、身内の医療従事者がこんなことを言っていました。
准看護師は無くなる資格よ~
そっか~
当時はそんなもんかと思っていましたが、准看護師として働いている今、こう思っています。
ほんとか…?
「無くなる」と言われてから30年程。いまだに求人はたくさんあるし、准看護師も養成してるし。
ほんとのところはどうなんだろう…
というわけで、調べてみました。
准看護師制度の成り立ちと日本看護協会の主張
日本看護協会の主張
日本看護協会のHPには、こう書かれています。
准看護師制度は、戦後急激な病院増設により看護師の需要が大きくなる中で、当時女子の高校進学率が低く、看護師を十分に増やすことが難しいため、中学校卒業を要件とし看護師を補助するものとして発足しました。
時代は変化し、急速な高齢化、医療の高度化・複雑化を背景に、医療安全やチーム医療の観点が重要視され、看護職には自律的に判断し行動できる能力がいっそう求められています。
そのため、日本看護協会は国民のニーズに合わせた看護職の養成が行われるよう、准看護師養成所を看護師養成所に転換し、看護師養成への一本化を目指します。また、准看護師の看護師資格取得を推進するための進学支援に取り組みます。
公益財団法人 日本看護協会
上記を要約すると、
・ 准看は戦後の医療の需要のために生まれた制度
・ 現代の高度医療に対応するにはちょっと難しい
・ 今後は自律的に行動できる看護師を養成したい!
という感じでしょうか。
准看護師の就業者数
では、准看護師の就業者はどれくらいいるのでしょうか。
令和元年のデータを見てみよう
看護師 :約127万人
准看護師:約 30万人
公益財団法人 日本看護協会 看護統計資料室
やはり看護師の方が圧倒的に多く、准看護師は看護師の1/4程度です。
准看護師のシェアが増加することは無さそう
また、9年間の推移を見ると、看護師は9年間毎年増加していますが、准看護師は毎年減少しています。
看護師養成所を看護師養成所に転換し、看護師養成への一本化を目指す という看護協会の方針のとおり、近年廃止された准看護学校もあります。
養成所が減ると養成者が減るので、今後准看護師のシェアが増加するとは考えられません。
准看護師は廃止される資格なの?
では、准看護師は廃止される資格なのでしょうか。
日本医師会の主張
日本医師会のHPには以下のような記載があります。
准看護師制度はカリキュラムも改正され充実が図られているにもかかわらず、なぜ未だに養成停止運動が続けられ、熱意と向上心をもって働く准看護師や准看護師を目指す人を傷つけるのか理解に苦しみます。(中略)
准看護師がこれまで果たしてきた功績は、誰にも否定できるものではありません。現在も、地域医療を支える実践的な看護師や准看護師を養成しているのは、国でも看護関係団体でもなく、各地の医師会や民間の学校です。看護職員を養成しない団体が、需給の問題も考えずに養成の停止を叫ぶのは無責任ではないでしょうか。(中略)
日本の看護体制は今後も看護師、准看護師、看護補助者の三層構造が最適であると考えます。
准看護師問題について‐日本医師会
要約すると
・ 准看制度はカリキュラムが改正され充実している
・ それなのになぜ養成停止運動が続けられるの?
・ 准看護師を養成しているのは医師や民間の学校!
・ 准看を養成してない人が文句言うのって違くない?!
・ 今後も、准看護師は必要です!
という感じでしょうか。
日本医師会に所属する医師の中には、個人病院やクリニックを経営している医師も多くいます。
准看護師は看護師と同じ業務ができるのに看護師より安く雇用できるので、上記の主張は納得です。
まとめ
調べてみると、
- 准看護師の就労人数は、看護師の1/4程度
- 准看護師のシェアが増加することはない
- 看護協会は准看護師ではなく看護師を養成したい
- 医師会は准看護師廃止に反対
ということが分かりました。
わたしとしては、雇用側である医師会が廃止を反対している以上、准看護師が無くなることはないと考えます。もし万が一廃止されるとしても、即座に廃止されることはなく、何らかの救済措置が取られるのだろうと考えています。
ただ、看護協会の主張も理解できますし、進学して看護師免許取得することを視野に入れるのもありだと思っています。
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